水菓子は一部の和菓子を指している言葉だと思われがちですが、実は正しい意味や由来があります。和菓子の歴史をたどりながら、本来の水菓子の由来を詳しくご紹介。おすすめの水菓子もまとめているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
なぜ果物?水菓子の本来の意味や由来
水菓子(みずがし)の本来の意味は、「果物」のことを指しています。古代の日本では松の実やびわ、柿など常食以外の甘味として楽しむ木の実や果物を「くだもの」、漢字が伝来してからは「果子、菓子(かし)」と総称していました。
そして、江戸時代になり砂糖が流通するようになると、人が手を加えて作った甘味を「菓子」、自然の甘味である木の実や果物を「水菓子」と区別して呼ぶようになったのです。これが「水菓子=果物」と呼ばれる由来です。
出典:江東区江戸深川資料館、鴻巣市観光協会
古代ではなぜ果物を菓子と呼んだの?
奈良時代の歴史書である日本書紀によると、時の帝であった11代垂仁(すいにん)天皇は田道間守(たじまもり)に不老不死の果実とされた非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)を探してくるように命じたことが始まりとされています。
中国やインドへと10年の歳月をかけて、田道間守がすでに命尽きてしまった垂仁天皇のもとに持ち帰った不老不死の果実とは、現在の橘(たちばな)でした。
後の聖武天皇が「橘は菓子の頂上、人の好むところ」と言われたことから、柑橘系の橘は菓子とみなされるようになったのです。現在の兵庫県豊岡市の生まれだった田道間守は、豊岡の中嶋神社で菓祖神として祀られています。
出典:豊岡市観光公式サイト
今は何を指す?「水菓子」のイメージがあるおすすめ和菓子
江戸時代に水菓子と呼ばれるようになった果物。しかし、今の時代では果物を水菓子と呼ぶことはあまりなく、以下のような種類の和菓子が「水菓子」としてイメージされることが多いようです。ここでは、水菓子と思われやすいおすすめの和菓子をご紹介します。
①わらび餅
水菓子のイメージがある和菓子は、涼し気な雰囲気のあるわらび餅です。山菜のわらびの根っこを乾燥させて精製したデンプンに砂糖と水を混ぜて作ったものを本わらび餅と呼びます。
量販店でよく見かける一般的なわらび餅は、高価な本わらび粉を使っていないものです。タピオカなどのデンプンで代用しているため、透明色のわらび餅となっています。
②葛餅(くずもち)
きな粉と黒蜜をかけて食べる葛餅も、水菓子のイメージがある和菓子です。関西の葛餅は、マメ科の多年草である葛の根に含まれるデンプンを精製して作ります。色は透明のお餅で季節をより感じる見た目となっています。
関東の葛餅の見た目は乳白色で、材料には小麦デンプンを使用。関西のように葛粉をつかっているわけではないため、表記も「くず餅」となっています。
出典:農林水産省
③水ようかん
水菓子のイメージがある和菓子には、水ようかんもあるでしょう。水ようかんは通常のようかんと違って、材料となる粉寒天の量を少なくして、煮詰めないことで水分量を増やし、固めたものをいいます。
つるんとした滑らかな食感、すっきりとした甘さが魅力。夏になると登場する季節の和菓子です。
④ゼリー
寒天や砂糖を材料とするゼリーは、水菓子のイメージが最も強い和菓子ではないでしょうか。中に入っているのはオレンジや桃などのフルーツばかりでなく、和のスイーツらしい栗や梅などもあります。
和菓子のゼリーは日持ちがするように製造されていることが多く、夏ギフトとしても人気の一品です。
⑤ところてん
水菓子を想像させる和菓子なら、欠かせないのが酢醤油や黒蜜をかけて食べるところてんです。ところてんの原料は、寒天と同じで天草(テングサ)と呼ばれる海藻を煮詰めたものになります。
そのまま冷やし固めたものがところてん、凍らせて乾燥させたものが寒天です。ところてんは寒天のように乾燥させない分、天草(テングサ)に含まれているミネラルや食物繊維も摂取できます。
創業60年超!福助ではわらび餅やくず餅が人気
水菓子としてイメージされている和菓子には、材料として天草(テングサ)と呼ばれる海藻を材料とする寒天がよく使われています。そんな寒天の産地としても有名な大阪府高槻市にあるのが業務用冷凍和菓子を製造販売する福助です。
福助では、わらび餅や葛餅など水菓子を思わせる美味しい和菓子を多数取り揃えています。ホテル・旅館・催事販売・介護施設などで使用する業務用冷凍和菓子をお探しの方は、ぜひ福助へお問い合わせください。
水菓子を用意して季節を楽しもう!
水菓子の由来は、古代より菓子(果子)とよばれていたくだものが、江戸時代になって人工的に作られた甘味と区別するために付けられた呼び方です。現代でイメージされている水菓子を用意して移りゆく季節をたっぷりと楽しんでいきましょう。